シリカガラスの失透メカニズムの研究

3.3 失透化シリカガラスの表面形態観察 ●温度による表面形態の変化

800℃では、クラックが規則正しく入っているが、900℃からは、クラックがランダムに入っている。また、800℃では、クラックの入りが浅い。1150℃では、クラックの寸法が小さくなり針状の結晶が観測された。

800℃ 900℃

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1000℃ 1150℃

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図3 温度による表面形態の変化 (ES 5min)

●時間による表面形態の変化 時間が経つにつれ、凹凸が増え、クラックが細かく入り始めるのが分かる。20minから表面の起伏が更に大きくなり、30minでは、針状の結晶が観測され始めた。

5min 10min

20min

30min

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図4 温度による表面形態の変化 (ES 900℃)

3.4 失透表面の蛍光検査

紫外線(254nm)を照射したとき、900℃以上で中心部に蛍光が見られた。蛍光発光は中心部にのみ観測され、周辺部に進むほど少なくなっていた。 温度で比較してみると、高温になるにつれて蛍光が強くなっている。時間で比較してみると、時間が進むにつれて蛍光強い蛍光が観察された。

失透により蛍光の色中心となる欠陥構造が温度や時間と共に変化していることを意味している。現段階では中心部で生じる蛍光の原因は不明であるが、結晶相の変化の過程で蛍光の原因となる欠陥が誘起されたものと予想される。今後、蛍光の原因と他の分析データ等を関連づけるデータが見つかれば、失透度合いの評価やメカニズムの解明に繋がっていくと期待される。

3.5 XRD法による結晶性の評価 ●時間及び温度による結晶相の変化

800℃の場合、熱処理時間を増やしていくに従い、クリストバライト型の結晶が成長していた。

温度による変化を見てみると、800℃ではクリストバライトのみが成長していた。表面形態の観察では、針状結晶は析出していないことが既に分かっている。1000℃以上では、クリストバライトの他に、トリディマイトが成長していることが明らかになった。表面観察では、900℃30min以上で熱処理したシリカガラスから、針状の結晶が観測されたことが明らかになった。

これらの表面観察の結果をふまえると、表面に析出する針状の結晶とトリディマイトのXRDピーク出現のパターンが一致していることから、針状結晶はトリディマイトの析出であると推定される。したがって、NaClとの反応により、900℃30min以上で熱処理したとき、失透はクリストバライトとトリディマイト2種類の結晶成長によって起こることが分かった。

4. まとめ

深さ方向への失透(Center部)は、1000℃

以上で、時間依存性、温度依存性を持つ。 失透のEdge部では、時間依存性、温度依存

性が見られなかった。

800℃では、シリカガラスの結晶化はクリス

トバライトが成長することによって進行する。900℃以上のとき、クリストバライトとトリディマイトの2種類の結晶によって結晶化が進行していく。

表面観察の結果から、NaCl結晶を置いた中

心から外側に向かう同心円状に表面形態が変化することが分かった。

表面形態の観察から、クリストバライトとト

リディマイトの結晶層の変化を判断出来ることが分かった。

―参考文献― 1. 上出 充, 平成16年度卒業論文“シリカガラスの失透メ

カニズムの研究”, (2006). 2. 葛生 伸“石英ガラスの世界”,日刊工業新聞社.

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