シリカガラスの失透メカニズムの研究

シリカガラスの失透メカニズムの研究

1. はじめに

シリカガラス(石英ガラス)は、プラズマや液晶ディスプレイパネル、パソコンのCPU で有名なPentiumなどに代表される超LSI用材料製造装置、光ファイバーなど、最先端技術に欠かすことが出来ない材料であり、今後ますます用途の拡大が予想される。幅広く用いられる要因は、シリカガラスの優れた耐熱性、電気絶縁性、物理的強度、光透過性、金属不純物の少なさなど、他の材料に比べて優等生とも言える、優れた物性を有することにある。

しかし、シリカガラスは、1000℃以上の高温、接触する化学物質などにより結晶化してしまい、「失透」という、本来有している、優れた性質が失われてしまう現象が起きる。この失透のメカニズムは、断片的には分かっているものの多くが未解明のまま残されている。

本研究では、シリカガラスと反応物を接触させることで、わざと失透現象を生じさせ、時間及び温度に対する表面形態と結晶形態の関連、失透深さの時間 温度依存性から失透メカニズムを考察した。

2.実験方法

①. シリカガラスにNaCl結晶粒(0.14mg)をのせ

て熱処理を行い、失透深さの時間 温度依存性を測定した。

②. 熱処理温度は800℃、900℃、1000℃、1150℃

の4パターンについて行った。 ③. 熱処理時間は、60分まで5 10分のステップ

間隔で増やし、失透の時間依存性について調べた。

④. 失透させたシリカガラスの表面形態を光学顕

微鏡によって観察した。時間 温度ごとの表面形態を比較した。

⑤. 失透したシリカガラスに紫外線を照射して、

蛍光の有無を調べた。 ⑥. X線回折分析(X-ray Diffraction Analysys 以

下 XRD)によって、結晶の同定を行った。

サンプルには、以下の製法及びOH濃度の異なる基板を使用した。

ES:合成石英 OH 1000ppm ED-B:合成石英 OH ≦10ppm HR:溶融石英 OH 10ppm N:溶融石英 OH 200ppm

※ ppm 100万分の1の単位

研究者名 羽柴 理恵 指導者名 井上 昭浩

堀井 直宏

3. 実験結果と考察

3.1シリカガラスの失透深さの変化 ●熱処理温度別時間依存性

図1 Center部のグラフを見てみると、1000℃以上では時間依存性が見られるが、900℃以下では、時間依存性は見られない。特に1150℃のとき、大きな変化を見せている。しかし、図2 Edge部では時間依存性及び、温度依存性は共に見られない。また、この2つのグラフを比較してみると、900℃以下はCenterとEdgeに差が見られない。このことより、1000℃以上で中心部分の失透が時間に対して活発に進むことが分かった。

シリカガラスの失透メカニズムの研究

図1 熱処理温度 時間依存性(Center部)

シリカガラスの失透メカニズムの研究

図2 熱処理温度時間依存性(Edge部)

3.2 基板の種類による失透の変化

4基板の各失透の深さを比較してみたところ、ESの失透が一番深く、HRが一番浅かった。ESのOH濃度が1000ppm、HRが10ppmであることから、失透の深さはOH濃度に起因すると考えられる。

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